最近、何回も聴きたくなる曲がある。
Canon Rock
今更遅い感があるけど、ネット界で話題となった台湾ギタリストJerryCさんが
クラッシックのカノンをアレンジしてGoogle videoに載せたのがきっかけの様子
そっから、世界中のギター小僧(小僧じゃないヒトもいるけど)が我こそはテクが一番と
自慢道場が始まった。
それにしても、世界には腕自慢したい奴が溢れていて、そして誰も彼も上手い。
そんなこんなで、殆どネットはそっち方面の音楽ばかりの探索でした。
最初、この映像を観た時には音楽の上手さと生活臭のある部屋のアンバランスがあまりにありすぎて驚愕した。
そして、昔のひとりの連れを思い出していた。
〜タイムスリップ〜
高3の春、受験のため、運動部を引退した僕は、まだ勉強生活に入るのも嫌だなぁと、いつまでもずるずるしてた。
「こんなことじゃ大学受からねーよな」
「しかし、クラブが無いとやることねーよな。」
どこまでも勉強をしない連れと共に、「勉強は夏休みにやればいいや」と安易に考えてた僕。同じように野球部を引退した奴とダラダラしてた。
そんなとき、今まで運動部じゃなかったクラスメイトの存在が急速に近くなる
学校の近くに住んでいた軽音楽部のギタリスト
今まで接点すら無かった運動部の僕たちと文化部のクラスメイト
席は3人とも一番後ろの席だった
勉強に本腰を入れる他のクラスメイトを尻目に僕達は急速に近づいていった。
「そんなに真剣にガリ勉しなくちゃいかんかぁ。つまんねぇよ。」
お調子者の野球部の連れが毒づく
軽い笑いをたたえてギタリストが連れを見る
いつしか、放課後に彼の家へ遊びに行くようになってた。
そこで聴かされたギターは凄かった。
レコードを聞いただけで、殆どの曲をコピーしてゆく。ジャンルはハードロック。
文化祭では、ステージの上で観たことはあったけど、これほど近くなるとはおもってなかった。
「コイツ天才だ。」
野球部の連れは本来の調子の良さに磨きをかけて言い出す。
私を誘い出した張本人
放課後の柔らかい陽の中で、隣人を気にして小さな音で繰り出される音は僕達を興奮させた。
Youtubeの映像は、あのときの違和感にシンクロしてゆく。
4畳半の部屋に奏でられるギターの音色。時に激しく。時にメロディアスに
理系と文系に分かれたクラス分けで近づいた僕達
いつもクールなギタリストの奴だった。
彼も脳内、筋肉系の僕達の存在に興味があったようだった。
その後、別な凄いギタリストにも出会ったが、いっぱしの奴は理系の脳をしてた。
ギターとはあくまでも論理的な楽器。気持ちだけ熱くなる奴には向いてないノダ。
あぐらをかいてギターを引き続ける彼の横で調子づく野球部の連れ
「バンドやりてぇなぁ。」
「おいおい、そんなことやってる暇ねぇだろ。」と僕
案外、ワタシが一番現実的だったんかもしれない。
しかしながら、そのお調子に乗っかって、ギタリストの彼が「バンドやってみるか。」みたいなことを言い出した。
「おいおい、俺は何にも出来ないぜ。」と僕
「ドラムがあるじゃねーか。」と彼
「一回もやったことないんだぜ。」
「大丈夫、リズムだけ保ってシンバルをバンバン鳴らしゃ良いんだよ。」
そんな経緯でバンドが組まれたんだっけ
クラブ活動が終わったと思ったら、訳わからないスティックを持った息子が何かバンバン練習している姿を見た親は怪訝に思っただろう。
でも、あの時は真剣だったなぁ。結構練習した。
お調子モノの野球部の連れはヴォーカル
ベースは嫌がるクラスの経験者のもう一人を無理やり引っ張り出し、一日限りのスタジオバンド。
結果は散々
リズムセクションのベースとドラムがモタりまくる。聴けたもんじゃなかった。
クールに奏でるギターだけがずば抜けていて、何だか変なバンド
野球部の連れは、お調子が良いだけに結構いけてた。
その後、僕はきっぱりバンドをあきらめ、受験勉強に入っていった。
だが、ギタリストの家には時々遊びに行くのは続いていた。
お調子者の彼との高3生活は、まだ続編がある。
それは、またいつか。
お調子モノの連れは最後まで、あきらめきれない様子で、他にも色気づいたりしたこともあって大学に受からなかった。ギタリストの彼はと言うと親の転勤で東京に行くことに合わせて、きっちりと東京の大学に入学を決めた。
どこまでもクールな奴だった。
彼の東京への引越しの日、荷運びを手伝った俺に向って「じゃ、またな。」と手を挙げた。
美味そうに煙草を吸って「これでもう解禁だな。」なんてうそぶいていたっけ。
(僕は走れなくなるからということで、とりあえずその時は吸ってはいないんで。笑)
それ以来、彼には会えていない。
どうなったんだろうか。今でもギターを弾いているんだろうか。
あの時、今みたいにネットがあったらお調子者の野球部の連れが必ずギタリストをそそのかして投稿していたと思う。
面白い時代になったもんだと思う。