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プロの道具
050526
今日は殆どの人間が出払っていて、相手にしなくていいのでバンバン図面が描けるぞと思っていたが、間違いだった。電話がいたる箇所で鳴っている。くそ、電話はキライなのだ。
調子に乗り始めると、電話。苛立ちは募る。特に内線電話。
「○○さんいますか。」(名を名乗れ)
「いつ帰ってきますか。」(システム上、行き先はウェブでチェックできる)
「今日は戻らないようです。」
「ガチャン」(おいおい、何も言わずに切るなぁぁぁぁーーー。)

そんな日々を送っております。
(殆どは礼儀正しい方々なのですが、一部の無礼な方々が屹立してしまいます。)

おっと、そんな話では無かった。
仕事で遅くなって、終電近くになると、ときどき出くわす人物。

「中吊広告交換師」

電車には中吊広告が掛かっている。古来からの広告方式で、あれが無かったら電車の中はいかにも殺風景だと思うしつまらない。
電車内では本を読むようにはしているが、満員電車で本すら広げることができないときには、やはり中吊広告に目がいってしまう。
あの起源については、「いつから始まったんだろう。」と思い検索をかけてみたが、ぴったりとした解答が見つからなかった。知っている方、教えてください。

そんな中でちと読み込んでしまったサイトがあった。
「都市空間と広告」
おそろしく長いが、良くまとまっていた。

あの広告はいつ誰が交換しているのだろうと思っていた。
列車車庫に入った後や始発の前に掃除と共にやっているのかなと思っていた。
ワタシの乗車している某ローカル路線では、最終電車近くになると彼は乗り込んでくる。

年のころ、60は越えているおじいさん。
片手には踏み台を携えている。踏み板は木製。泥や雨水で年季が詰まった味が出ている。
脚もスチールの黒色が絶妙の色合いをかもし出している。
肩からは、たすき掛けをしたかばんのようなもの。でも袋の短辺部分は筒のようになっている。広告が長さがあるものだから両サイドの留めは不要なのだろう。

電車が動き出す。
そんなことは、じいさんはおかまいなし。
1.吊広告の下に踏み台を置く。「ひょぃ」とじいさんは乗っかり、今ある広告をはずす。
2.はずした広告を吊かばんの最上部に入れ込む。
3.吊かばんの中の、最下部の広告を引っ張り出す。
  →ここがミソなんだと妙に納得する。取り出すのは下から、収納は上からだ。

1吊りの広告を替える時間は、1秒とかからない。まさしく早業。
終電間際なので、乗客もまばらだが、皆、彼の一挙手に目が釘付けになる。

美しいと言っても過言でない技。
そして、何の変哲もない道具。名人に使われる道具。
輝いて見える。

しかし、それは名人に使われてこそ輝く。
| 奇人伝説 | 00:01 | comments (10) | trackback (0)

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↑この広告は借用サーバーから送られてくるものでコンテンツと関係ありませぬ